世附山(西丹沢)西丸・東丸


(東丸からここまで、ヤブがひどく、極上の山頂に感じた西丸山頂)

【日 時】 2007年3月4日(日)  二人(Hさん)  晴れ(春のような一日)      
【コース】 自宅5:30 〜 山伏トンネル下(車) 7:30 7:45 〜 山伏トンネル 7:55 〜 大棚ノ頭 8:15 〜 佐久間東幹線301鉄塔管理道入口 8:40 〜 佐久間東幹線301鉄塔 〜 バラシマ林道 9:25 〜 切通沢橋 9:50 10:00 〜 金山第一歩道入口10:02 〜 西丸・東丸鞍部 11:05 〜 東丸 11:25 11:35 〜 西丸・東丸鞍部 11:45 12:20 〜  西丸 13:25 13:40 〜 水ノ木分岐 14:15 14:25 〜 大棚ノ頭 14:35 〜 山伏トンネル下 (車)15:05 〜 自宅 18:00
【資 料】  2万5千分の1地形図  「御正体山」」・「林班図」・「誰も知らない丹沢」(岡澤重男著)西丸・東丸
【始めに】 世附山( 西丹沢世附川流域)は、神奈川・山梨・静岡の3県が境を接し、その境はすりばち型をして世附川流域を囲んでおります。

そのすりばちの底にあたる部分が水ノ木で、その底に向けて3本の大きな尾根が下りています。

それぞれの尾根には、「西丸・東丸」・「丸尾山」・「大栂山」という山があります。流域はほとんどが国有林で、植林とヤブが多い、山深い場所です。

すりばちの中に入って感じることは、

@広大な山深き山域であること、

A丹沢でありながら一般道はごくわずかであること、

B大半が国有林で、植林地とヤブが多いことです。しかし、そのヤブ地帯は一定の高度にあるようで、そこを除けば、たまには綺麗なブナの林もあります。

そんな世附山ですので、丹沢の一般道を歩きあきた、静かな山歩きファンが好む山域であるかも知れません。

「世附ゲートの番人湯山さん」に「山が深いから気オ付けて行くんだよ」と言われたことがあります。

また、「ようこそ山へ」のHPを管理するs-okさんは、広大なこの山域を歩きたいという夢を現実にする過程を、「誰も知らない丹沢」(岡澤重男著)という本にまとめられ出版しております。  

私はその広さやその意味が最近わかりました。
(注意)
本コースには道標等は一切ありません、地形図(国土地理院2万5千分の1)を読図の上
地形と照合し、適切なルート選択が必要です。特に下りルートして利用する場合は、
尾根が複雑に分岐しますので、読図力は不可欠です。
佐久間東幹線301鉄塔管理道には、東電の黄色の標識が設置されております。


GPS軌道

カシミール3DとハンディGPSを使用して作成した「GPS軌跡」のページです。軌道が切れたり飛んだりしていますが、
修正してありません。そのような場所は、
衛星の電波を受信できない杉林のような場所です。
また、軌道は、1分隔で記録しております。また、画面の大きさに合わせて縮小していますので、
正確な縮尺はわかりませんがおおよそ25000分の1程度です。


青・・・・西群馬幹線  黄緑・・・・佐久間東幹線

佐久間東幹線302鉄塔・西群馬幹線260鉄塔は想定位置です。

この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第87号)




旧版地形図2万5千分の1「御正体山」昭和4年測量 昭和7年発行

「金山歩道」と「薄い丸印が3ヵ所の建物跡」

金山歩道は、旧版地形図や林班図を参考に「丸尾山」と「西群馬幹線・佐久間東幹線鉄塔管理道」を歩いた際、途中まで登り歩道であることを確認しました。




今日も、Hさんの家によって駿河小山から、いつもの三国峠越えで山中湖へ下り、山伏トンネル手前(トンネルまで徒歩5分位の位置)にある、dnさんにお知らせ頂いた駐車場(路側帯)に車を止めました。

 山伏トンネル旅館入口(立入禁止)


山伏トンネル入口にある廃屋同然の旅館は、営業を再開するのか手入れがされ、入口には「私有地に付き立ち入り禁止」のロープを張り、「登山者はトンネルの道志側登山口を利用」してくださいとの注意書きがありましたが、ロープを越えてそのすぐ先にある階段がから稜線に出ました。

今日も西群馬幹線258鉄塔から富士山が綺麗に見えます。


 西群馬幹線258鉄塔から


大棚ノ頭では、これから登る西丸が大きく迫ってきます。右手の富士岬平方面に向かい、西群馬幹線257鉄塔過ぎ、下った先のベンチがある場所が、バラシマ林道に早く下れる佐久間東幹線301鉄塔管理道入口です。
 佐久間東幹線301鉄塔管理道入口

この道は前回も利用し、ヤブが綺麗に刈られた歩き易い道であることがわかっています。登りには使用したくない程の急坂を下ると、東幹線301鉄塔に着きます。

ここからも西丸が目の前に迫りますが、なぜか東丸は手前の稜線に隠されまったく見えません。

気持ちのよい鉄塔下でしばらく休んでから、300号鉄塔に向かう黄色の道標に従いさらに下ります。


 佐久間東幹線301鉄塔

道は山腹をほぼ水平に下り沢に出て、沢沿いにすこし下って、沢に水が出て始める附近から尾根に取り付きますが、黄色い道標とピンクテープに従えば道を見失うとはありません。同じ様に、道は山腹を巻いて小沢を何本も横切りながら横に移動し、大きなパラシマ沢を板橋で渡り林道に出ます。

今日は街では気温が18度を超え、山も同じ春の陽気です。

林道を歩きながら下の沢を見ていると、ヤマメが瀬に出て羽化する水生昆虫を待っており、もう毛ばりでヤマメが釣れる季節になったようです。



車が走れない荒れた林道をすこし下ると、右側に佐久間東幹線300号鉄塔に登る管理道入口があり、ここから沢に沿って25分も下ると切通沢橋です。

切通沢橋で休み、かねて偵察済みの金山第1歩道に向かいます。目印は、切通沢橋より馬印へ50m下った左側にある倒れたカーブミラーです。僅かに水が流れている脇を登ると、すぐ左側林の中に道を見つけることが出来ます。
 金山第1歩道入口

小木の植林地を進み、尾根先端を回りこむとガレ沢に出て、ここで道が途切れたようにみえますが、沢を渡った先に道が続いています。(そのまま沢を登ってはいけません)。この道はカヤが綺麗に刈られ歩きやすくなっていますが、

夏になるとカヤが成長し歩けないかもしれません。


 金山第1歩道下部


また尾根の先端を回り込むと道が二つに別れます。
@カヤが刈られた尾根上の道
Aカヤが被った山腹をまく道です。

旧版地形図を見ると、金山歩道は後者のようです。

しかし、カヤが刈られた道の魅力には勝てず、尾根上にある大木を目指して急斜面を登りました。


 分岐(上 尾根道・下 金山第1歩道)


傾斜が緩む頃には、植林地とカヤ原の境目を歩くようになり、振返るとはるか下に、小さく白い切通沢橋が見えます。



 尾根道


M-Kさんが東丸に登るために使った尾根が前方に近づき、標高880m地点からトラバ−スして尾根に合流します。
 標高870m付近


うっすら踏み後がある尾根上の植林地を進むと、左下側から道が合流します。
 「俺の山紀行」東丸(2)写真17と同じ付近
 だと思う?


この道が先程分かれた金山第1歩道です。ここまで急斜面を避けるようにして中腹を迂回して尾根に出てきたようです。

しかし、その踏み跡はうすく、途中には崩壊地も予想されます。


 標高920m圏から東丸・西丸鞍部を見る



歩道が合流した少し先で、また、道が2分します。
@尾根上を進み西丸に向かう道、
A山腹を水平に横断し東丸と西丸の鞍部に出る道です。

 標高920m圏の小ピーク付近



後者が金山歩道で沢の源頭部を横切る危険な場所には道を保護する石積が施されていました。

東丸・西丸鞍部へのトラバース(古い石積あり)


金山歩道は、馬が通行することを前提に、出来るだけ傾斜を少なくして作られたように感じますが、(人が歩くにしても同じことが云えるので一概にはいえませんが。)

何れにしても旧経路は、尾根上ではなく山腹を横に進む道がおおく、崩壊しやすい道になっています。

鞍部には、猟銃保護区の赤い看板があり、ヤブに覆われていますが、峠の雰囲気が十分に漂う場所です。


 東丸・西丸鞍部


峠の反対側には、金山沢に下る金山2歩道がはっきりと残されています。

dnさん情報によると、第2歩道の下り始めのトラバースが危険ですが、それ以降は危険な個所は無いとの事です。


 東丸・西丸鞍部から金山第2歩道入口


鞍部と東丸山頂との標高差は100mですが、下から見るとすごく高く感じます。

急な登りを20分で低いヤブに覆われた山頂に着きましたが、まったく展望はありません

山頂から大棚橋や馬印に下る尾根道はヤブの中です。


 東丸


鞍部に戻る途中のヤブの無い場所で、昼食にしました。

休んでいると単独の人が登って来て、ここは何処ですかと地図を出しました。
その方は三国峠から高指山を越え、水ノ木分岐から金山経路で金山沢に下り、馬印を通り切通峠に登り三国峠に戻るとのことです。

途中で金山沢に下る金山経路を見失い西丸を超えてここまできてしまったとのことです。

一緒に山伏トンネルまで戻ることを進めましたが、予定どおりのコースを歩くと西丸に登って行きました。そのジーパンにスニカーの方はHPのコピーはもっておりません。



鞍部から標高1080mのピークまでヤブの急登が続き、そこを越えると傾斜が緩やかなになることは佐久間東幹線301鉄塔から観察すみです。

得意?の平泳ぎで目の前のヤブをかき分けます。





 西丸への登り

西丸・東丸の鞍部までは、ダニが多く着きましたが、先行した単独の方が2回も歩いたおかげでダニは付かなくなりました。小さな蟹のようなダニは何回見ても好きにはなれません。

深いヤブのために用意した防護服を頭からすっぽり被ると首筋にもごみが入らず安心ですが、暑いことが難点です。
今日は下界では春の気温でさらに暑く感じます。冬以外は使えそうにありません。


 西丸直下


深かったヤブが終わり西丸の山頂に着きました。山頂を示す手造りの道標は見つからず、黄色の石杭があるのみです。

今まであったヤブがうそのように無くなり、ブナ林の綺麗な山頂でしばらく休憩です。

山頂から金山沢に下る経路を示すテープもありました。


県境尾根が間じかに迫り、西丸の下りに入るとまたもやヤブです。


金山沢への分岐


ヤブ泳ぎにあきた頃、馬印と書かれた手作り道標がある鞍部に着きます。トラバースして下る金山経路があります。

鞍部から水ノ木分岐の手前まで、まだヤブが続きました。

  水ノ木分岐への登り


大棚ノ頭から、トンネルの道志側に下り、トンネル内を歩き車が置いてある山中湖側に戻りました。
水ノ木分岐



         国境尾根から西丸                                  笑ってくださいダニ防護服山の中で会ったら異様です


今日は春のような一日で、暑いと云った方がよい気温でした。

西丸・東丸の稜線は、大半がヤブに覆われ展望のない尾根ですが、その中にもしっかりした道が付けられており、この山域の人気を感じます。

また、金山歩道が越える西丸・東丸の鞍部は、峠・乗越の雰囲気があるいい感じの場所でした。

今回は、金山第1歩道のみでしたが。次回ば、第2歩道で金山沢に下りて見たいと思います。

この歩道が昔し、どのような目的で利用をされていたか確認したくなりました。

山中湖畔の平野・長池部落の人々が、切通峠やバラシマ峠から切通沢橋に下り、そこから水ノ木への近道として利用した山仕事の道なのか?

または、第2歩道を下りた先の製材所(建物跡)へ行くために、馬を引いて越えた駄賃附けの道なのか?

第一歩道を歩いた感想は、出来るだけ急坂を避けてゆるやかに道が付けられています。

昭和7年発行旧版地形図の水ノ木周辺には、3ヶ所に建物跡があり、また、山中湖村史には、水ノ木には「丸三製材所」「丸五製板」「丸高製板」の製材所があったと書かれています。

水ノ木部落の次回調査は、地図にある3ヶ所の建物跡とこの製材所が合致するかどうか調べて見たいと思います。



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