【日 時】 | 2007年4月30日(月) Hさん 晴れ |
【コース】 | 4月29日(夜) 自宅20:50 〜 渋沢 〜 道志の森キャンプ場 〜 水晶橋 23:00(仮眠) 4月30日 水晶橋6:00 〜(車) 西沢林道ゲート 6:30 〜 ブナ沢乗越 7:00 7:20〜 菰釣避難小屋 7:30 〜 菰釣山 7:55 8:05 〜 大栂 9:00 9:30 〜 P1024 10:30 〜 富士見峠 10:55 11:05 〜 P878 11:30 〜 地蔵平 12:45 13:45 〜信玄平 15:05 〜 城ヶ尾峠 15:45 15:55 〜 水晶橋 16:35 〜 自宅 19:45 |
【資 料】 | ○ 2万5千分の1地形図 「御正体山」」・「山北」 ○ 「誰も知らない丹沢」(岡澤重男著・風人社刊)西丹沢の峠を巡る |
【始めに】 | s-okさんのHP「ようこそ山へ」で知った、世附川源流域の山々。 この山域は、山中湖畔の平野部落から「世附山」または「影山」と呼ばれております。 その世附山は、神奈川・山梨・静岡の県界尾根に囲まれ、すりばちのような形をしています。 その底にあたる水ノ木に向けて、県界尾根から3本の大きな尾根が下り、それぞれの尾根には、「西丸・東丸」・「丸尾山」・「大栂」の山々があります。 今回の大栂で、目標であった県界尾根と3本の尾根を歩くことができました。ほぼ一緒に登ったHさんには感謝を申し上げます。 世附山は、浅瀬ゲートの番人「Yさん」により、車や自転車は止められアプローチが長い場所です。 歩くたびに「広さ」と「山深さ」を身をもって感じました。 世附山の魅力? @丹沢でありながら一般道は少なく、冒険心をくすぐる静かな山歩きが出来る。 A大半が国有林で植林とヤブが多く、歩いていると突然「カヤト原」から、ゆったりした伸びやかな山並みが見えたりします。 B今はありませんが、森林軌道や廃村となった「大又部落」・「水ノ木部落」等、生活の跡も見ることができます。 まだまだ、歩きたい場所や調べたいことがある「世附山」です。 |
カシミール3DとハンディGPSを使用して作成した「GPS軌跡」のページです。軌道が切れたり飛んだりしていますが、
修正してありません。そのような場所は、衛星の電波を受信できない杉林のような場所です。
また、軌道は、1分隔で記録しております。また、画面の大きさに合わせて縮小していますので、
正確な縮尺はわかりませんがおおよそ50000分の1程度です。
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第87号)
今日は行程が長く出発が早いので、前日に水晶橋まで入って仮眠することにしました。
日曜の夜(29日)、NHK大河ドラマ「風林火山」を見てから家を出ました。
途中Hさんの家に寄って、小山から三国峠に入り、山中湖畔から山伏峠を越え、「どうし道の駅」の手前を右折しました。
三ヶ瀬川に沿って道志の森キャンプ場の中を貫けて、東沢の水晶橋に2台の車を入れました。
水晶橋(仮眠)
よく眠れる様に少しお酒を飲んで12時にシュラフに入ると、深い森の中では、「トラツムギ」がヒィー・ヒィーと悲しく鳴いている。
この鳥が鳴くと山女・岩魚が釣れないと、フライフッシングの仲間内のジンクスがあるが、明日は登山なので関係ない。 しかし、トラツムギは悲しい声で鳴く。「ヒィー・ヒィー」
少し飲んだおかげですぐに夢の中に入った。
翌朝は車の外が明るくなった5時に目が覚める。まだ夜は冷えて薄いシュラフでは寒かった。
西沢ゲート
お茶を沸かし、簡単な朝食をすませ出発の準備をしていると、釣りの人だろうか? 1台のRV車がさらに奥の林道に入って行った。
この林道はどこまで車が入れるのだろか?
水晶橋に私の車を置いて、Hさんの車で一度キャンプ場まで下ってから、また西沢の林道を登っていく。
西沢林道入口にある別荘では、いつも大きな黒い犬に吠えられ前を通って林道ゲートに向かう。
ブナ沢乗越
ゲート手前の橋の上に、車を駐車して出発。尾根の先端を回りこみ林道はさらに奥に延びている。
次に沢を渡ると国境稜線へ上がるブナ沢乗越への道標と水場がある。
とそこに、水晶橋で見たRV車が駐車している、水晶橋からここまで車が入れる。
西沢に沿って登って行くと二又となる。本谷と別れ支沢に入るとガレ沢で、急斜を詰めると「ブナ沢乗越」、白い手造りの道標がある。
山道に入って30分、一番早く菰釣山に登れるルートだ。
改築された避難小屋
余談
ブナ沢乗越は、峠の風景を愛する「峠のむこうへ」さんによると、・・・別名「盗材コシッパ」「盗賊ブッコシ」とも呼ばれる場所だ。かつては、盗伐が繰り広げられ、争い事があったのかもしれないが、今は静寂に包まれている。 ・・・・
と紹介されております。
ブナ沢乗越なので反対側へ下る道はないかと探しながら歩いていると、入口に赤テープ、その先の林にもテープがついています。 P907に向かう尾根の入口のようです。
P907から先は、先日入口を見た忍橋林道(林班図参照)に出て下りれば地蔵平に出る事が出来そうです。
西沢ゲートに車を置いた場合は、上記尾根を下りて、地蔵平から城ヶ尾峠を越えて水晶橋に下りて、林道をブナ沢乗越登山口に戻るルートができそうだ。
菰釣山
ブナが綺麗な道を登って行くと約10分で避難小屋に着きます。
改築された小屋は、以前のまま新しくなり、木の香が残る綺麗な小屋です。
小屋のノートに名前を書いて山頂へ向かいました。
菰釣へ緩やかなブナ林を登って行き、ベンチと太陽電池パネルが見えてくると山頂です。
山頂の反対側は大きく開け、富士山が大きく見えます。古くから菰釣から眺める富士は有名のようです。
大栂へ
右側には、小さく南ア白根三山の白い頭も見えています。
山頂には、1組2人と単独の方がおられ、2人の方は西沢登山口にあったRV車の方で、大栂まで行かれるとのこと。
我々もこれから、ヤブの海を泳ぐため、「鳥インフルエンザに感染した養鶏場を消毒する防護服」に変身して、先行の2人の後を追います。
大栂
山頂南側の三角点は見ることなく通過してしまった。
顔まである笹薮を掻き分け笹の下に隠れた踏み後をはずさない様に下りていく。
右側に富士が見え隠れし、青空に映える赤紫色のミツバツツジの花が咲いている。
大栂の鞍部は、「大タルミ」という場所で、水ノ木沢の支流をタルミ沢をつめた場所でもあります。
富士見峠への道に入る
余談
「峠のむこうへ」からコピーを頂いた、山と渓谷33号(昭和15年11月発行)に掲載されている、「水ノ木沢から菰釣シ山」(加藤秀夫著)の記録によると、水ノ木沢側から当時秘境と言われた菰釣山へ登るルートは3本あり、
一つは、長尾といい、水ノ木沢とタルミ沢の出合から、直接菰釣三角点に延びる尾根を登るコースです。
一つは、タルミ沢の棚となる所の左側より来る小沢を登るとすぐに右手に付けられたコマ取道、漁師仲間では胸突八町と称される急斜を登るコース。
もう1つは、タルミ沢をなほも詰め、水ノ木の人達が、大又へ越す経路がある。と書かれている。
何れも、60年以上が経過しており、今は経路など存在していないだろう。
大タルミからは、ヤブもまばらとなり、緩やかに登って行くと広い頂の大栂に着いた。先行された方のおかげもありダニは着かなかった。
山頂には、「湘南○○○クラブ」と書れた、静かな大栂には溶け込まないパウチされた看板がある。
先行されたお二人も休んでおられ、しばし雑談となったが、S−OKさん・M−Kさん・dnさん等のHPの話が、話題にのぼった。
むずかしい下り 1080m付近の植林地あちこち道を探す
上記の皆さんのHPを参考にヤブ尾根を歩いているとのことで、見せて頂いた地図には歩いたルートの赤線が引かれていました。すごい数でした。
椿丸では、「シンゴ」さんとも会っておられ、その事がシンゴさんのHPに書かれているとの事でした。
「yamanoko」のHPも見て頂いたことがあるとのことで、うれしい限りです。話が弾み30分休憩を取ってしまいました。
大栂からゆるく下り標高1170mで織戸峠への尾根と別れる。
ここは見通しもよく尾根分岐が分かり易い(入口にスズランテープ有り)富士見峠への尾根に入ると、ブナ林のとても気持の良い場所で、このまま続いてほしいと思う。
標高1120mの尾根分岐も見通しよく問題は無い。(当然道標は無く地形図を読めることが前提の話ですが)
道がはっきりしたP1024手前鞍部
標高1080m付近まで下ると尾根上を境として左側植林地、右側カヤト原となり、その境に引き込まれてしまうが、そのまま下ると方向が違う。
植林地に入ったが、迷い易い場所なので踏み後が乱れている。
P1024の次のピークから椿丸方面ゆったりした山容は
s-okさん曰く北八ヶ岳のようだ 同感です
登り返し気味に、左手に尾根が出てくることを意識して、左下にトラバースして下ると、踏み後もまとまりはっきりした尾根となった。
この場所は注意が必要だ。
S-OKさんは、「世附権現山の方向をめざして」と書かれている。
P1024手前の鞍部で小休止。P1024は、左側カヤト原右側植林地となっている。ここからは東丸・西丸椿丸ゆったり・のびやかな稜線が見える。
世附山は本当に広いと感じる。
P1024次のP980の小さいピークも同じような右側カヤト、左側植林地で、その間を進む。ここは、踏み後もしっかりしており、標高950mで、枝尾根に入る。
林道に下りる
富士見林道に下る場所はガレており、すべり落ちるような感じで林道に着地する。
道の反対側、看板脇に富士見峠へつながる道があり、すぐに切通しの峠に着く。
峠からは、林の間から富士が見え、地蔵平から林道も来ている。
先日も来た富士見峠から地蔵平に下る
すこし進むと苔むし倒れた道標がある場所が、地蔵平へ下る沢コースと尾根コースの分岐で、沢コースは、以前歩いたので、今日は尾根コースを歩く。
峠のむこうへさんによると、途中の山抜けも問題なしとのこと。
沢コースは、途中に道が崩壊した場所が3ヶ所あり少し危険が伴うが、尾根コースは、道がわかりずらいが部分もあるが危険な崩壊はない。
途中の山抜け注意して歩けば問題なし
しばらく水平道を進むと、沢の源頭で今も石が落ちている山抜けした場所に出る。
傾斜はそれ程きつくなく、渡るのには問題は無いが上から落ちてくる石には注意が必要である。
その先はコンクリブロックで石積された下側に道が付けられた場所もあるが、石積みは古い物ではない。
石積が残る道(古いものではない)
何時しか植林地内の尾根上を歩くようになり、枝打ちされた歩き難い道になる。
左側にP830峰が大きく見えている。
P878の鞍部で、右下に林道が見えたので、歩く難い尾根をに嫌気がさし、林道に降りた。
菰釣山を振返る
P878の右側を巻いた林道は、巻き終わった先で終っている。
林道わきの鹿ネットを越えて、尾根上に戻るためカヤトの原を進むが道はない。
広い尾根上に出るが道は無く、右側カヤト原・左側植林地で、歩き易い植林地を歩いて行くが道は定かでは無い。
P878から先、植林地帯のむずかしい下り
ヤブの中で道を捜した
植林地内に白ペンキがついた木が並んでいるが、境界を示す目印のようで、マーキングでは無いようだ。
ここら辺りから地蔵平に下る尾根に乗らなければならないが、広い尾根のカヤト原で見通しが悪い。
標高800mで、シキリ沢と白水ノ沢出会いに下る尾根を確認。この尾根でも下ることが出来そうであるが、予定の尾根を目指す。
カヤトと植林地の境にある鹿ネットに沿って、しばらく下り、コンパスで方向を定め広い尾根を下って行くと尾根らしくなり、踏み跡があり尾根に乗ったようだ。
尾根に乗り見つけた旧大又部落のアンテナ
急な斜面を下って行くと、M−Kさんも書いていた旧大又部落で使用した古いテレビアンテナがある場所に出た。
そこから明確な旧経路にぶつかり、シキリ沢とオバケ沢の出会いに下った。
沢を渡る場所をさがして下流に移動するが、水量が多く安全に対岸に渡れる場所が無い。
大分下って石が並んだ場所があったが、最後の間が広くジャンプが必要だが、何とか対岸に着地することができた。
しっかりした道にぶつかる
着いた場所は、山神社の裏手で随分と下ってしまった。
山神社とお地蔵様に手を合わせ、広場に出て昼食とする。
広場から下った尾根を見上げるとかなり高度感があり、部落の人は富士見峠に行くときは、沢コースを選ぶような気がした。
これで今回のバリエーションルートは終了しました。後は一般道で城ヶ尾峠を越えて戻るのみです。
大又沢を渡る場所がない
余談
大又部落(地蔵平)から始まる仕事道・生活道
@旧水ノ木部落への道(富士見峠から織戸峠越え)
A道志村への道(城ヶ尾峠越え)
B中川温泉への道(二本杉峠越え)
C大滝部落・箒沢への道(大滝峠越え)
山の神社の裏に出た
昭和7年発行・2万5千分の1地形図には,地蔵平から4本の山路が書かれております。
ABは、甲州道志村と相州中川を結ぶ、街道的な役割を果たし武田信玄が北条攻めに使ったと云われる「サガセ古道」。
途中の二本杉峠は、別名鞍骨峠とも云われ、甲相国境紛争では道志村はこの峠が国境と主張しました。
その根拠は、道志村が評定所に提出した文書の中に、「信玄屋敷(城ヶ尾峠)より城ヶ尾通り鞍骨までは、通行人が頻繁であって、この道は道志村がつくり、橋もつくってきたこと」と書いてあります。
この歴史あるサガセ古道も、地蔵平〜二本杉峠間は、廃道に近い状況です。
@Cは、奥野幸道さんによると東海自然程歩道の候補になったことがある、趣がある峠道ルートで、「大滝峠〜地蔵平〜富士見峠〜織戸峠〜馬印〜切通峠〜平野」です。
この道も廃道同様ですが、ところどころ昔の道型があり面影が残っています。
Cの道は、大滝沢で製炭事業が行われていた時代に、大滝部落の子供が大又分校への通学路として使用した道です。
この道も現在は荒れており、旧経路を見つけることは困難でした。
下った山を見る
富士見峠の下りで時間がかかり予定より遅れましたが、後は城ヶ尾峠に登るだけなので、ゆっくり地蔵平で昼食を取りました。
広場の中央左側には、城ヶ尾峠を示す道標が設置されており、沢を渡って正面の植林地に取り付きます。
先日と同じ場所で昼食
途中で折り返し尾根に出てます。
単調なゆるやかなな登りが信玄平まで続きます。
左側には、、菰釣山から下った大栂の稜線やその間に数本の支尾根が見えます。
サガセ古道の信玄平
(疲れが出る長い登り)
疲れが出てくる頃、信玄平に着きます。
今は植林地で、信玄が陣を張ったなど想像することが出来ません。
ここは、旧東海自然歩道で、大滝峠からの道が合流していますが、今は荒れて、通行禁止となっており、途中に崩壊地が多く歩くのは大変そうです。
まさしく「危ない橋を渡る」
ここからは傾斜が急になり、トラバース気味になると崩壊地に出ます。上側の尾根を大きく回りこみます。(そのまま尾根上を進むと城ヶ尾山です)
迂回が終わり尾根から下ると、続きのトラバース道に戻り、またその先に崩壊地した場所があります。
今にも落ちそうな丸太の橋がありますが、歩くと意外としっかりしており、問題なく渡ることが出来ます。まさしく危ない橋を渡ります。
ついに城ヶ尾峠へ
城ヶ尾峠の鞍部までは、そのままトラバースして着きました。
城ヶ尾峠はとても趣がある好きな峠で、武田信玄もここに立っていたと思うとなおさらです。
東沢へのはっきりした道
東沢の水晶橋へは、しっかりした道が続いており、30分も下ると林道にでました。
予定のコースを歩き終わり終点の水晶橋へ