アザミ平から富士山
【日時】 | 2006年2月22日(水) 3人(Hさん・Kさん) 晴れのち曇り |
【コース】 | 茅ケ崎駅6:44〜国府津駅7:05・7:08〜御殿場駅7:56・8:00〜籠坂峠8:35・8:45〜アザミ平9:30・9:35〜P1366峰10:05〜大洞山10:20・10:25〜ごんぐのベンチ11:00〜づな坂峠11:10〜三国山11:20・12:35〜道路13:00・13:05〜明神峠13:20・13:30〜湯船山14:15・14:25〜白クラノ頭14:45〜峰坂峠15:2515:30〜悪沢峠15:45〜樹下の二人15:55・16:05〜世附峠16:08〜不老滝17:10・17:15〜山口橋17:30(車)〜駿河小山17:48・18:27 |
【参考図書】 | *2万5千分の1地形図 山北・駿河小山・須走 *「誰も知らない丹沢」 三国山山稜から湯船山山稜を行く |
【始めに】 | 江戸時代の後期に起きた、「相甲国境紛争」の争点であった、吉政峠(切通峠)〜大棚〜山神峠の境界について、幕府役人ではありませんが「百聞は一見に如かず」とばかり、実地検分をしてきました。 問題となった場所を実際に見てみると、その広さを実感します。平野村の勝之進が領有権を得るために、法廷侮辱罪に問われる程必死に抗弁したことは無理のないことと思いました。 年休が期限切れになるため、平日に行くこととしました。同行してくれたのはHさんとKさんで、お二人は車を山口橋と駿河小山駅近くに置いてから、駿河小山から私が乗っている御殿場線に乗車してくれました。 いつもは通勤で混雑する上りホームにいるのですが、今日は、熱海行きの下り電車を待っています。 今日は会社に束縛されない自由な時間です。 国府津駅7時8分発、3両編成の沼津行の電車では、4人がけの席に1人で座り、山の神様が早く起きて作ってくれたおにぎりで朝食にしました。 下曽我駅周辺は、梅が5〜6分咲きです。 昨年梅を見ながら曽我山を歩きましたが、その時は、中腹から金時山越に大きな富士が見えました。今日は少し霞んでいます。 |
カシミール3Dの軌道
カシミール3DとハンディGPSを使用して作成した「GPS軌跡」のページです。軌道が切れたり飛んだりしていますが、
修正してありません。そのような場所は、衛星の電波を受信できない杉林のような場所です、また、軌道は、
1分間隔で記録しております。また、正確な縮尺はわかりません、50000分の1を縮小しています。
御殿場線の車窓からは、松田までの間、左手に矢倉岳・金時山・明神。
松田から東山北までの間は、右手に松田山と高松山が見えます。
いつもは車から見る景色も電車から見ると新鮮です。
山北駅を過ぎて鉄橋を渡り、「酒匂渓谷?」となり、御殿場線も旅情があり、電車で山に行くのもいいものです。
photo 1国府津駅
駿河小山駅でHさん・Kさんが乗車され、御殿場駅のバスの待ち合わせは4分しかなく、走って「山中湖行き」のバスに乗り込みました。
さすが、「裾野の町御殿場」は、山をさえぎるものがなく、白い大きな富士山が見えています。
つづら坂を上り切り、別荘地内にある籠坂峠バス停で下車しました。
日曜日の雨はここでは雪で、5センチ位残っています。
バス停に10人のグループがスパッツとアイゼンを付け準備中です。
photo 2 籠坂峠
photo3 岩田さん道標
photo 4 アザミ平から大洞山方面
同じバスではないので、山中湖側から上がって来たのでしょう。グループの方々は、鉄砲木ノ頭まで行かれるので、三国山までは同じコースです。
バス停から林道を歩くとすぐに墓地があり、その横から山道に入りますが、三国山ハイキングコースのしっかりした道標がありわかりやすくなっています。
誰の足跡も無い道は、雑木林の中をゆるやかに登って行きます。
岩田さん作成のものと思われる、畑尾山への道標がありました。これから世附峠までの道標が楽しみです。
photo 5アザミ平 踏み後無し
photo 6 アザミ平から富士山
photo 7 自然林の中の登り
先が長いので畑尾山は登らず、そのままアザミ平に向かいます。
少し急になった道が、尾根を乗越えた先が、アザミ平です。
稜線上のロープが張られた場所から振返ると、畑尾山の後ろに裾野まで白くした富士山が見えます。
ゆるやかに登ってP1366峰を越えて大洞山に、10時20分着。
山頂からの展望はありませんが、途中右手に箱根
方面の山が見えました。
「相甲国境紛争」の中で、甲州側は領有権を示す証拠書類として、「大洞の影山東丸と言う所の巣鷹立林は、平野村勝之進の先代がこの山守を命じられ………、それを示す証文もある」とあります。ここに出てくる「大洞の影山東丸」は、この大洞山ではなく、たぶん西丸・東丸の東丸のことだと思います。
photo 8 ゴングのベンチ
photo 9 三国山
雑木にブナが混じった林の中を、ゆるやかにアップダウンする道は、とても気持ちが良く、新緑の季節にはきっときれいです。
大洞山と三国山中間にも、岩田さんの作られた「ゴングのベンチ」がありました。
説明では、「ボクシングで鳴らすゴング(どら)とは別。欣求(仏)よろこんで道を求道(ぐどう)すること。欣求浄土など…。」と書いてありました。
ユーモアがあり、楽しい道標です。
photo 10 世附川源流の山
photo 11 明神峠
づな峠にも岩田さんの道標があり、説明書には、「武田信玄もこの峠を越えて…。」と説明されています。
三国山 11時25分着。
やはりこの山も国境紛争にたびたび登場する山です。 判決文では、甲相駿の境は「平野村にて綱峠、世附村にて三国峠と唱うる嶽を三国峠と相心得へ、右嶽より峰筋……。」と衆議の上決定したと書かれており、現在の県境が確定しました。
面白いのは、平野村では、三国峠を「綱峠」と呼んでいたことで、昔から国境としての認識はなかったかも知れません。
photo 12 湯船山への登り
photo 13
三国山山頂からの展望はありませんが、木の枝越に富士山が少し見えています。岩田さん手作りと思われるこげ茶色のベンチで昼食にしました。
1時間休んでいると足先が冷たくなってきました。12時35分発。鉄砲木ノ頭まで行く予定でしたが、時間を無くなったので、明神峠に向かいます。
はっきりした尾根を下って行くと、急に雪が無くなりました。
送電鉄塔のある場所から世附川源流の山々が見えています。
ここからは、国境紛争で問題になった区域がよく見えます。はるかかなたに菰釣山が見え、その広さを実感することができました。
白州で平野村と世附村が必死になって領有権を争って論争したのもわかります。
平野村の主張は、吉政峠(切通峠)〜大棚〜山神峠を見通した線が境ですが、現地では見通した線ではよくわかりません。幕府も実地検分をして尾根を境とした方がわかりやすいと判断をしたのでしょうか?。
photo 14
photo 15 アヒルの絵 上部が山の容
山中湖に向かう道路に出てからは、道路の上に尾根道もありましたが、舗装道路を歩きました。
明神峠には、板の節を山中湖に見立てた面白い道標があります。この道標もていねいに時間をかけて作られたことが伺われます。
明神山を巻いて富士グリーンヒルゴルフ場へ下る道を過ぎると、湯船山です。14時15分着。
明神峠からはブナの木が多く、とても感じのいい尾根歩きができます。
白クラノか頭 14時45分。
M−Kさんが山口橋から登られた尾根が合流しています。峰坂峠に向かいます。
photo 16 峰坂峠から水ノ木へ
photo 17樹下の二人から西丸・東丸
最近の山は、植林地が多い二本杉峠や椿丸でしたので、ブナ林のプロムナードが心地よかったのですが、ここで終了しました。
峰坂峠 15時25分着。
峰坂峠は、水ノ木から馬が炭俵を乗せて越えた峠です。
大又(地蔵平)に住んでいた方の話では、1頭の馬に6俵の炭俵を積んだそうです。
国境紛争にも出ている土沢付近の炭焼も、峰坂峠を越えて駿河小山まで下ろしていたのでしょう。
当時の古文書では、世附村と山続きの谷峨村名主梅吉の記録で、「飯沢五右衛門殿出し、北辰丸高千表」などとあり、相当数の炭が焼かれていたようです。
搬出は馬士で、馬士は仲間(組合)を結成して駄賃の値上げを要求することもあったようです。
photo18樹下の二人
photo 19 林道
悪沢峠 15時45分着。
前記同様大又の方の話では、大又の最寄の町は、駿河小山だったようで、医者や行商は世附峠を越えて、駿河小山から来たそうです。
水ノ木から峰坂峠、悪沢付近は悪沢峠、世附村も世附峠を越えて、それぞれ駿河小山に行ったのでしょう。
樹下の二人 15時55分着
非常に展望のいい場所で、前回行った山神峠や椿丸への尾根が目の前に見えます。
サンショウバラを見に再度訪れたいと思います。
世附峠からは、1時間の林道歩きで、17時30分に山口橋に着きました。
駿河小山駅 17時47分着
17時48分の国府津行きの電車は、目の前で発車してしまいました。次は、18時27分です。
ザックに入っていた、パックの日本酒を飲んで時間をつぶしました。
photo 20駿河小山駅ホーム
あとがき
ひさしぶりのロングコースでしたが、キツイ上りはなく、長い割には疲れはありません。岩田さんの努力で、道標や道が整備され、また、随所にベンチも設けられており楽しく歩くことができました。
籠坂峠から峰坂峠付近までは、ブナの木が多く気持ちよく歩くことが出来るコースです。
季節を替えて歩いてもおもしろいと思います。
今回は、相州と駿州の国境が主でしたが、次回は相州と甲州の境である、畦ヶ丸〜菰釣山〜山伏峠〜三国峠付近までを歩いてみます。
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